ユニクロの感動ジャケットを 2 着、一ヶ月でシワシワにした。毎日着て、毎日洗って、毎日乾かした。それだけである。最後の一つが余計だった。
正方形と内接円と対角線 2 本の意味は知っていた
洗濯表示を見ているだろうか。自分は見ている。見たうえで、見ないふりをしている。
正方形があって、内側に円が接していて、その上に対角線が 2 本かかっている記号がある。タンブル乾燥禁止、つまり乾燥機に入れるなという意味だ。消費者庁の説明でも、正方形に内接する円はタンブル乾燥処理を表し、重ねた × は禁止を表すことになっている1。 × が付いていなければ、円の中のドットが排気温度の上限を示す。 1 個で 60 ℃、2 個で 80 ℃。
読める。意味も分かる。分かったうえで無視してきた。
出勤している間に回すので、乾燥の途中で取り出せない
言い訳をさせてほしい。
洗濯機を回すのは、家を出る前である。洗濯から乾燥まで通しでかけておけば、帰ってきたときには乾いている。この動線に「乾燥が始まる前にいくつか抜く」という手順は入らない。その時刻、自分は会社にいて、洗濯機は家にある。
仮に在宅していたとして、洗濯槽へ手を突っ込んで、濡れた衣類の山から乾燥機禁止のものだけを選り分けるかというと、やらない。絶対にやりたくない。
だから、熱で発火するおそれのあるもの以外は全部ぶち込んできた。これで困ったことはなかった。
感動ジャケットを 2 着買って、毎日交互に着た
今年の夏、ユニクロの感動ジャケットにお熱である。安いし、涼しい。長袖なので日焼けも防げるし、そこそこフォーマルにも見える。
買ったのは品番 311-482223 のメンズで、1 着 6,990 円2。 2 着で 13,980 円ぶんを交互に着て、この夏はほとんど毎日袖を通していた。着たら洗う。洗ったら乾かす。乾燥機で。
ポケットが上に引きつれ、引っ張ってもアイロンでも戻らない
一ヶ月ほど経って、ポケットのまわりにシワが寄っているのに気づいた。ポケットの口が上へ引っ張られ、そこから放射状に生地が寄っている。
最初は、中で糸が伝線しているのだと思った。裏で一本つっぱっているだけなら、引けば伸びるはずだ。両手で持って、強く引っ張った。シワは直らない。
そのころには、自分でもちょっとシワがひどいなと思っていたくらいだ。妻はオシャレな人なので、さぞ見ていられなかったことだろう。見かねて、アイロンをかけてくれた。熱と蒸気を当てれば戻ると、二人とも思っていた。伸びない。
もう 1 着を見たら、同じところが同じように寄っていた。 2 着とも、ポケットのまわりだけシワシワである。交互に着て交互に乾燥機へ入れたのだから、当然といえば当然だった。再現性がある。うれしくない。
タグには「乾燥機不可」と書いてある
ここで初めてタグを読んだ。
ユニクロの商品ページにも書いてあった。取扱いは「洗濯機可・ネット使用, ドライクリーニング可, 乾燥機不可」。売っている本人が、乾燥機に入れるなと書いている。組成は、表地がポリエステル 72% と複合繊維 (ポリエステル) 28%、裏地がポリエステル 100%。
表地と裏地で組成が違う。違う素材に同じ熱をかければ、縮む率も違ってくる。縫い合わせてある場所では、縮んだ側が縮まない側を引っ張る。ポケットは、袋にした布を表地へ縫い付けた部品だ。だから服全体が小さくなるより先に、ポケットの口だけが上へ寄る。
アイロンで戻らなかったのも、これで筋が通る。アイロンは折り目を伸ばす。縮んだ繊維の長さは戻さない。ただし手元で糸を抜いて測ったわけではないので、ここは推測である。
確かなことも 1 つある。タグは買った日から付いていた。
水曜と週末は乾燥機を使わない
2 着とも買い替えた。
「乾燥機を使うのをやめればいいだけでは」「そもそもタグくらい読め」「感動ジャケットくらい消耗品だと思え」
どれもそのとおりだ。ただ 1 つ目は、生活のほうが受け付けなかった。そこで、曜日で切ることにした。
水曜はリモートワークなので、一日家にいる。週末も家にいる。この 3 日は、乾燥機を使わない洗濯をする。洗濯表示を守りたいものは、その 3 日にまとめて回す。残りの 4 日は今までどおり全部ぶち込む。
7 分の 3 である。守るか守らないかという問いを、週に何日守るかへ変換した。選り分ける手間そのものは消えていない。消えたのは場所のほうで、濡れた洗濯槽の中から、乾いた洗濯かごの手前へ移った。
洗濯表示の記号は、平成 28 年 12 月 1 日に国際規格へ合わせたものへ変わり、令和 6 年 8 月 20 日にもう一度変わっている3。自分が見ないふりをしているあいだに、記号のほうは 2 回も更新されていた。
これまで、洗濯表示は大げさなことを言っていると信じて生きてきた。味噌汁を沸騰させないような、あるいは USB メモリを「ハードウェアの安全な取り外し」で外すような、丁寧な暮らしをしている人々にしか関係のないことだと思ってきた。洗濯表示にも意味があったんだね。これからも洗濯表示を守ることはないだろう。けれども、この感動ジャケットや妻のニットくらいは、表示を守って洗おうかな。
Footnotes
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消費者庁「洗濯表示 (令和 6 年 8 月 20 日以降)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_02.html ↩
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ユニクロ「感動ジャケット (メンズ)」 https://www.uniqlo.com/jp/ja/products/E448034-000/00 ↩
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消費者庁「洗濯表示 (平成 28 年 12 月 1 日から令和 6 年 8 月 19 日まで)」 https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html および前掲「洗濯表示 (令和 6 年 8 月 20 日以降)」。 ↩